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平成12年第 3回定例会−08月30日-02号
平成12年第 3回定例会−08月30日-02号

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  1. 熊本市議会 2000-08-30
    平成12年第 3回定例会−08月30日-02号


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    最終取得日: 2022-11-22
    平成12年第 3回定例会−08月30日-02号平成12年第 3回定例会   平成十二年八月三十日(水曜) ────────────────────────────────────────────────   議 事 日 程 第二号   平成十二年八月三十日(水曜)午前十時開議   第 一 質 問 ────────────────────────────────────────────────                  午前十時二分 開議 ○江藤正行 議長  ただいまより本日の会議を開きます。      ───────────────── ○江藤正行 議長  日程に入るに先立ちまして御報告いたします。  去る八月二十八日開催の各決算特別委員会において正副委員長互選の結果、平成十一年度一般並びに特別会計決算特別委員長下川寛議員、副委員長に中松健児議員、また、平成十一年度公営企業会計決算特別委員長に家入安弘議員、副委員長に田中誠一議員が当選されました。  以上御報告いたします。      ───────────────── ○江藤正行 議長  日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。家入安弘議員。        〔十八番 家入安弘議員 登壇 拍手〕 ◆家入安弘 議員  おはようございます。  くまもと会派の家入安弘でございます。  第三回定例会冒頭、一般質問の登壇の機会をいただき、身も心も引き締まる思いで、大変緊張しながらの質問でございますが、一生懸命行いますので、答弁される三角市長、執行部の皆さんの御協力を切にお願いいたしまして私の質問に入らせていただきます。
     まず、中央政治情勢地方政治情勢、それについて触れさせていただきますと、小渕政権の受け皿として森政権が発足をし、以来日本政治情勢はまさに迷走が続き、低空飛行のままであり、政治も、経済も、国民生活にも、極めて厳しい情勢の続く国内情勢の流れにあり、国際的には、沖縄サミット等、小渕政権の宿題、積み残しをやっと終えられたようであります。  そしてまた、第四十二回衆議院選挙の結果を受けた臨時国会が七月二十八日から開かれ、選挙直後の特別国会として一カ月もたたずに開かれた臨時国会は、総選挙直後の中尾元建設大臣の逮捕、そごう問題で世間、国民の知るところとなった旧長銀の売却をめぐる不明朗な契約、雪印乳業の食中毒事件、九州・沖縄サミットの成果など政治的問題は大きく、なお山積みされる中、中央政権においては自公保枠組みも大変な実情のようであります。  今、国民は、市民は、この不況下にあえしのぐ大変な状況であります。  金融貸し付けの貸し渋り、本県、本市においても、連日のように企業倒産、リストラ、雇用不振、失業者の増大、景気の見通しどころか、全く不透明な先行き真っ暗な現況と言っても過言ではないものと存ずるものであります。  このような世情を裏づけするように、未成年者の凶悪犯罪の多発、荒廃し切った厳しい時代を、今こそ、よそごとでなく、人ごとでなく、行政、市民一体となり、総力を挙げ、一日も早く、安定したよかまち、よかひとづくりに専念しなければならない思いでいっぱいであります。  それでは、まず三角市長に本市財政についてお尋ねをいたします。  財政運営の中で、一つ、平成十一年度決算について、二つ、平成十二年度の財源見通しについて、三つ目に、中長期的な財政見通しについて三角市長にお尋ねをしたいと思います。  御承知のとおり、我が国の景気は、八月の経済企画庁の月例報告によれば、国の経済対策など、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的な回復に向けた動きが続いているとのことであります。  また、このような景気の回復傾向を踏まえ、金融政策の大きな転換となる日銀のゼロ金利政策解除が八月十一日に実施されたところであります。  しかしながら、企業の景況感の改善も、リストラなどによる大企業の収益改善などが中心であり、個人消費や雇用情勢の厳しい現状を見ますと、地域経済の回復までにはまだまだ時間を要するのではないかと思うのであります。  今回の平成不況は、平成三年のバブル経済の崩壊後、実に九年の長期に及んでいますが、この間、国においては、たび重なる経済対策を実施、巨額の国債を発行してきたのは御案内のとおりと存じます。  地方においても、国の要請のもと、国庫補助事業のみならず地方単独事業についても積極的に実施されており、多額の地方債が発行されてきました。  景気対策とはいえ、このような公債の大量発行が国、地方の財源状況を悪化させ、先進国中最悪の財政状況に至らしめたと言っても決して過言ではないものと思うのであります。  今や、我が国の国、地方を合わせた公的債務は六百兆円を超え、国内総生産の一・三倍にも上っております。この巨額の借金が将来における我が国の経済成長の阻害要因ともなることが危惧されており、世代間の不公平とともに、活力ある二十一世紀の経済社会の実現の大きな足かせとなることが大きな問題となっているのであります。  国においては、平成九年十一月、橋本内閣の時代に財政構造改革法を制定し、一たんは財政再建に取り組む姿勢を見せておりましたが、その後の景気の動向から、これを一時凍結、現在も景気回復最優先の予算編成が行われています。  しかしながら、我が国の将来を考えれば、いつまでもこのような政策が継続できるはずもありません。  そこで、本市の財政に目を転じますと、その状況は非常に厳しく、平成十年度の決算における公債費比率は二二・二%、起債制限比率は一七・三%と、いずれをとっても中核市では最も悪い水準にあります。  このようなことから、平成十年三月に中期財政計画を策定、公表されました。市税徴収率の向上、職員数の削減、事務事業の徹底した見直しや、投資的経費の規模をそれまでの五百億円台から四百億円台とし、市債の発行額を二百億円程度に抑制する方針を示されたことは、私はまことに賢明な選択であったと思い、評価をいたすところであります。  そこで、三点、本市の財政運営に関して三角市長にお尋ねしたいと存じます。  まず、一点目であります。  中期財政計画については本市の決算や経済動向変動などを加味し、毎年ローリングされているところでありますが、昨年三月に公表されました中期財政計画における平成十一年度の計画値と、今議会に提出をされています平成十一年度の決算と比較して、計画の達成状況はどうであったのかお尋ねをしたいと思います。  次に、二点目であります。  今年度は、本市のまちづくりの指針となる第五次総合計画の初年度でもあります。  この新マスタープランは、二十一世紀において本市がさらなる発展を遂げるための重要な計画でありますが、この計画推進のためにはしっかりとした財政基盤がなくてはならないと思います。  そこで、新総合計画の初年度となる今年度の財政見通しについてはどうなのか、国の追加補正の状況など不確定要因もあろうかと思いますが、市税や交付税の見込みを交えてお答えいただきたいと存じます。  さらに三点目は、中長期的な財政見通しはどうなのか、新総合計画の推進に支障は来さないのか。  三点、お尋ねをいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  財政運営に関しましてお答えを申し上げます。  本市の財政状況は、景気低迷の長期化により、市税、地方交付税といった基幹財源が伸び悩む一方、社会保障費等の扶助費、また公債費の増嵩により厳しい状況が続いております。  このようなことから、中長期的な財政運営の指針といたしまして中期財政計画を策定し、予算編成に当たっても、その趣旨を踏まえ、財政の健全化と市民福祉の向上に必要な財源配分を行っている次第であります。  御質問の第一点目は、中期財政計画と平成十一年度の実際の決算がどうであったかとのお尋ねであります。  平成十一年度も、市政全般にわたって効率的な財政運営に努めた結果、一般会計の決算収支は、実質収支で十九億円余、実質単年度収支で四億七千万円の黒字を確保できたところであります。  お尋ねの中期財政計画と決算との比較であります。  公債費比率は二二・六%の見込みに対しまして、決算では二二・二%となり、起債制限比率は一七・三%に対し一七・〇%と、わずかではございますけれども好転を見せたところであり、おおむね計画どおりの決算となっているところでございます。  次に、二点目の本年度の財源見通しであります。  現時点では、国の公共事業予備費や二次補正の状況等、不確定な要因もありますけれども、市税、地方交付税等一般財源総額は昨年を若干上回る見込みであり、一層の効率的な財政運営により収支の均衡を図ってまいりたいと考えております。  三点目は、中長期的な財政見通しについてでございます。  将来の財政見通しについては、現在、国において論議がなされている地方分権に伴う財源移譲の問題や地方交付税のあり方等、地方税財政制度がどのような方向で進んでいくのか、これいかんによっては大きく変わってくるものと考えております。  したがいまして、今後とも、国に対しては、市長会等を通じて地方税財源の充実確保について強く働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。  今後の本市の財政状況は当分の間厳しい状況が続くことが予測されますが、中期財政計画に沿った計画的、効率的財政運営に努め、個性的で魅力ある都市づくりを着実に進めてまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  三角市長の答弁の中には、数字的には、計画どおり予算も組み、金も使っているという報告であります。今何をなすべきか。国も県も市もあえしのぐ非常に厳しい財政状況ではないかと思います。本市行政、総力を挙げて、今辛抱し、要るものに使うと、そういった運営に心がけていただきたいと思います。  国においては公共事業の見直し、あるいは新産業革命(IT産業)の拡大に向けて──二十世紀もあとわずかな月数で終わります。新世紀、まさに百年の計は残されることしの一年にあろうかと私は思います。  三角市長財政についての説明のように、厳しくとも、市民のために行政はあると、そういった形で、この残された一年間、充実した三角市政であることをお願いする次第であります。  次に、地方分権についてお尋ねをいたします。  地方分権、今までの国、地方は上下、主従のつながりにあったものから、一括施行からまさに対等、協力関係に変わるべき形に進むべきことだと、地方分権一括法制定から私は見詰めてきましたが、現状は、必ずしも、地方の思いははるかに外れている実態のように見えてなりませんが、本市においてはいかような実態、状態かお尋ねをしたいと存じます。  長きにわたり、中央主導の縦割り行政から、地域住民本位の総合行政へと変わるべきものと思いますが、機関委任事務の廃止、機関委任事務の大半は、地方自治体が自分の判断でできる、いわゆる自治事務となっていくものと存じます。  例えば、都市計画などで、その進め方に決定権の権限が拡充され、その地域、実情に応じた市独自のまちづくりがしやすくなり、決断しやすくなるものと思います。しかし、非常に計画実行しやすくなる反面、一番問題になってくることは、国に対して、権限だけでなく、財源の充実に対しても権限移譲を求めるところではないかと存じます。  加えて申し上げますと、地域住民の分権に対する期待も高まり、本市行政に対する期待度は高くなってきているものと思います。  ここで心配をいたしますのは、各自治体の政策立案能力が強く求められるのであります。いわゆる地方自治体自己責任の時代とも言われています。本市三角市政においては、中核都市くまもとまちづくりとしていち早く取り組みをされ、住民参加のまちづくりなど、住民自治協力も既に取り組まれていることは評価をいたすところであります。  戦後五十五年、中央集権型の政治、戦後の貧しさから脱却を目指し、機能を発揮した政治も、財政難にあえぐ国が地方に政策転換をする地方分権とならないよう、施策展開を見て、大きくは財源を国から地方へ移譲、人材育成、意識改革等、分権時代を確立されるよう要望を含めまして質問いたします。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  地方分権時代行政運営についてお答えをいたします。  議員もお述べになりましたように、本年四月の地方分権一括法の施行は、地方自治体自己決定権の拡充が図られた大改革である反面、地方への税財源の移譲という行政運営の根幹となる課題はいまだ解決されていないのが現状であります。  地方分権を確実なものにするためには、国に対して引き続き税財源の移譲を訴えていかなければなりませんが、一方で地方自治体みずからの責任も一層重くなることから、行政としては、透明性を確保し、行政評価制度の導入などにより市民に対する説明責任を果たすとともに、広く市民が市政に参画できる仕組みを構築していく必要があります。  したがいまして、これからの分権社会におきましては、自治体の力量によって住民サービスにも大きな格差が生じてくることを十分認識し、基本構想にも明確に示しましたとおり、これまで以上に市民の方に軸足を置いた行政システムの構築や職員の意識改革、人材育成に努めてまいりたいと思っているところでございます。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  地方分権企画調整局長答弁どおりであります。  熊本市の行政は、今までは国、県からの指導もありましたが、知恵を絞り、本市職員一丸となってまちづくり、人づくり、三角市長の掲げる政策を市民一体となって実行されるよう期待をしてやみません。  次に、景気対策と新たな産業の育成策についてお尋ねをいたします。  まず、我が国の経済の状況についてであります。  先日の月例経済報告によりますと、景気は厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いているという説明があっておりました。  しかし、個別の状況を見ますと、例えば倒産が増加するなど、決して必ずしも楽観できる状況ではありません。特に七月には、負債総額も、そごうの民事再生法の申請や二、三の中型の倒産が加わり、総額三兆円をかなり超えて四兆円近くになるとも言われております。  それから、雇用情勢では、全国の完全失業率は六月期では四・七%であり、多少の改善はあっているもののなお厳しい状況が続いております。失業者は三百二十一万人とのことであります。特に企業の倒産やリストラが原因の非自発的失業者は百五万人と、依然として高水準となっています。  一方、県内の状況は、日銀熊本支店の発表によりますと、「県内景気は、総じて見れば持ち直しの動きが持続しており、企業マインドも引き続き改善傾向にある」とのことであります。  IC関連企業など一部には好調な企業がある一方で、企業の倒産状況は、昨年同時期と比べてみても、負債総額は変わらないものの倒産件数は大幅に上回っております。  また、依然として就職難であり、先日の新聞紙上には、県内の高校卒業者、フリーターなど進路未定者が一千八百九十六人と過去最多になったという記事が出ておりました。  このように、昨今の経済状況は、全国も、熊本も、一部に改善の兆しがあるものの厳しい状況を脱していないのが実情であろうと思います。  したがいまして、私は、今なお行政による景気の下支えが必要であり、効果的な即効性のある施策が求められていると考えております。  このような意味からも、これまでも各種の景気対策を実施してこられたとは存じますが、今年度についてはどのような景気対策として進めておられるのかお尋ねしたいと思います。  そしてまた、今後の景気対策に対する考え方もお尋ねをいたします。  次に、新たな産業の育成策についてお尋ねをいたします。  本市は、九州の中央に位置するなど地理的条件にも恵まれており、将来的にも、九州新幹線の開通や地域高規格道路、熊本港の整備などを踏まえての広域流通拠点としてさらなる発展も抱えており、十分可能とも考えられます。  また、物づくり産業としては、IC関連産業、地域特性を生かした食品産業などが本市の基幹産業となっており、これらの産業支援は今後とも最も重要なことであります。  しかしながら、本市になお一層の経済活力を生み出すためには、既存産業への支援に加え、これから大きな成長が期待できる産業への支援にも取り組むべきと考えるものであります。  二十一世紀を目前に控え、今まさにIT革命の時代であり、インターネットなどの普及に伴い、情報通信等の分野で大きなビジネスチャンスが次々と生まれております。  都市圏人口百万人を擁している本市には、医療、福祉、情報通信、環境産業など、時代の要請に対応した新たな産業が発展していく素地は十分あるものと思えるし、私は、昨年の第二回定例会におきまして、雇用の場の確保という視点からベンチャー企業の育成の必要性を述べたところであります。  今後、熊本市においても、ベンチャービジネスを含め新産業に対する支援がぜひとも必要であると考えております。  私見を交えていろいろと申し上げましたが、二十一世紀をにらんだ新たな産業の育成策について経済振興局長のお考えをお聞かせください。        〔三嶋輝男経済振興局長 登壇〕 ◎三嶋輝男 経済振興局長  景気対策と新たな産業の育成策についてお答えをいたします。  まず、景気対策につきましては、景気が急速に悪化した平成九年後半から重点的に取り組んできたところでありますが、特に、平成十二年度におきましては、雇用対策を最優先課題として、求人開拓事業企業ガイダンス就職相談会のほか、新規事業として高卒未就職者に対する支援事業も実施することといたしております。  また、平成十年度から実施しております商店街活性化のための緊急対策事業では、先般「全国リサイクル商店街サミット熊本大会」が開催されましたほか、空き店舗を利用した情報発信スタジオの開設など、この緊急対策に基づくイベントが延べ百二十六の商店街で実施されております。  このほか、金融対策、経営相談窓口の設置等積極的に対応しているところでございます。  今後とも、景気の動向を十分に見きわめながら適切な施策の展開を図ってまいりたいと考えております。        〔議長退席、副議長着席〕  次に、新たな産業の育成策についてでございます。  ベンチャー企業支援はもとより、バイオ、情報通信、環境など新たな産業を積極的に育成していきますことは、地域経済を活性化させる上で大変重要であると認識をいたしております。  そこで、平成十二年度は新産業成長支援プログラムを策定することといたしており、その中で、例えば将来にわたり高い雇用効果の見込める企業、また環境対策に有効な企業など、それぞれの企業の特性に応じた適切で計画的な支援策を検討することといたしております。  今後とも、当面の景気対策はもとより、将来成長が期待される新たな産業の育成につきましても中長期的観点から取り組んでまいりたいと考えております。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  経済振興局長の前向きな取り組み姿勢については評価もいたしますが、今この不況下にあえぐ熊本市の地場企業、中小企業零細企業の皆さん方はあすの方向さえ見出すことができずにあえしのがれていると思います。  私はつい最近、零細企業中小企業の皆さんと懇談をする場に遭遇いたしました。我々の手で今の景気をどうすることもできない。行政としてどのように見られているのか、どのようにされようとしているのか、私たち事業者の立場からは見えてこないと、そういった話も聞きました。  どうぞ経済振興局長、名のとおりであります。一日も早く、今私が申し上げましたように、熊本市内における中小企業零細企業の皆さんとひざを交えて現況、実態を把握し、そして本市に相通じる景気対策を精いっぱいやっていただきたいと重ねてお願いを申し上げておきます。  続きまして、公園用地購入についてお尋ねをいたします。  清水万石一丁目公園の用地取得費については、三月議会で予算が成立したものでありますが、前回の六月議会において公園区域の決定についての議案が提出され、もろもろの事情から、市議会史上、過去に例を見ない議案否決という結果になりました。  このことはお互いまだ記憶に新しく、公園用地として切望する地域住民の待ちわびる希望、署名、陳情は、それではどこへ行くでありましょうか。  要するに、清水万石地区は公園や遊休地などが少なく、お年寄りから子供たちまでが一緒になって集い触れ合うことができる場所や、また地域のコミュニティーの拠点となる場所の最も少ない地域であります。この地域に居住される大半の皆さんが公園の建設を今なお首長く待ち望んでおられるのであります。  そのあかしとして、市行政に対し、清水万石一丁目公園建設について、平成十一年十二月、三百四十七名から成る多くの地域住民の方々の署名とともに熱意ある陳情書が提出されております。
     今もなお、小さい子供さんを持たれるお母さん方や、お年寄りの方々からも「もう清水万石の地域には公園はでき得ないのでしょうか。」そういった切実な問い合わせが頻繁に私の方にも参っております。  さきにも述べましたように、当地域は、地域の人々が自由に利用することができる公園や遊休地が非常に少なく、陳情されたような公園用地の場所として、二ところとない地区であることから、この地域の皆さんは、このような実情に対し、非常に困惑、やるせない思いを持っておられます。  今回の議案否決に関する行政側の対応として、八月三日付で後藤助役を班長とされた調査班が設置をされました。今回の問題の解明に取り組んでおられることは十分承知しておりますが、問題は、きょうかあすかと公園立地を待つこの清水万石の市民の心を察していただき、一日も早く調査結果を出されることが行政の地域住民に対する答えであろうと私は思うのであります。  そしてまた、清水万石へ必ずや公園をつくっていただくように、清水万石地域住民を代表して、私はこの席をかりて三角市長の温かい決断をお願いしてやまない次第であります。  そしてまた、公共用地取得の際のマニュアルの見直しや用地の選定、予算化するまでのシステムの再検討などについても早急な対策、結論となりますようお願いをするものであります。  そこで、陳情が提出されている清水万石地域の公園建設について、市は公園用地取得、建設について、今後当地万石の公園化を、どのような対応を考えておられるのかを、担当部局、都市整備局長にお尋ねをいたします。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  家入議員にお答えをいたします。  さきの第二回定例会におきまして、清水万石一丁目公園用地につきましては、土地疑惑などが提起をされまして公園用地としての区域の決定議案が否決されましたので、当該地での公園建設を断念したものでございます。  このことにつきまして、議会を初め地元の皆様方に大変御迷惑をおかけしましたことを改めておわびを申し上げます。  清水万石地区の皆様の御要望に今後どのようにこたえていくのかとのお尋ねでございます。  公園用地取得について、現在、後藤助役を班長とした調査班が設置をされているところでございます。  また、あわせまして、公共用地取得マニュアルの見直しや用地の選定などのシステム改善に向けた取り組みを行っているところでございます。  地元の皆様方から、当地区への公園の整備について、署名総数三百四十七名という熱意ある陳情が寄せられていることは都市整備局といたしましても重く受けとめております。  当地区における公園設置につきましては、計画時点での公園整備状況等の調査の結果を見ますと、当該地周辺には五百メートル以内に全く公園がなく、住民一人当たりの公園面積も熊本市の平均を下回っている現状であり、公園整備の必要性は十分にあると認識しております。  したがいまして、さきに述べましたもろもろの問題解決やシステムの改善がなされました後、当地区内に公園としての適当な用地がございましたら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  都市整備局長の現況の説明は理解もします。  私があえて本議会に清水万石公園の問題を取り上げましたのは、何回も申し上げるようでありますが、当該地区には身近なところに人と人の触れ合う場所すらないわけであります。あそこに空き地ができた、何とか公園にしてほしい、そういった人たちの心が陳情書となり行政に及ばれたところであります。  今局長の説明によりますと、基準もあるいは熊本市の平均からしても適地、適当な場所であると、そうお答えをいただきました。早速地域に帰りまして報告を申し上げ、万石の皆さん、必ずや公園は建設できますよと、その報告ができることに喜びを持ち、次の質問に入ります。  都市交通対策についてお尋ねをいたします。  都市交通対策については、今までに我が会派くまもとから毎回のように質問をしております。極力重複しないように質問をいたしますので、執行部の簡潔明快なる答えをお願いいたします。  先般、二十一日に行われた都市活性化対策特別委員会で市電の路線延伸が審議されたようであります。  都市交通として市電を明確に位置づけ、その活用について論議に入られるようでありますが、過去において、路線廃止、路線延伸といった住民からの要望などを踏まえ、その時代に即応した対応を図ってこられましたこれまでの労苦には敬意を表するわけであります。  本市の交通状況について市民だれしもが思うものは、朝夕における中心部での交通渋滞や車の増加であり、その対策についてはそれぞれの機関で論議されているものと思いますが、市電の路線一つにしても、ただ単に交通事業者である交通局任せでなく、本市の重要な都市交通問題として、また、市民、行政全体の総意として、その総合対策に本気で取り組まなければ、構想、計画倒れになってしまうのではないでしょうか。いつまでたっても議論のための議論に終始し、結局、結果も成果も出ないのではと危惧するのは私だけでありましょうか。  まず、供給サイドのアプローチとしての交通施設の整備であります。  一つには道路の整備が必要でありますが、環状道路や地下バイパスなどの整備には莫大な予算と時間がかかるわけであります。  実現可能な方法として、混雑度の高い路線に対して、例えば国道三号線、五十七号線、二百六十六号線、熊本高森線など、都心部を中心とした放射状路線と交差するすべての道路を立体交差することで交通混雑状況を大きく解消することにつながると思います。このことにつきましては再三本議会でも他の議員も述べられております。  そして二つ目に、公共交通をもっと利用してもらうために、バリアフリー構造の整備を急ぐことに今交通局挙げて取り組まれております。お年寄りや障害者の皆さんが手軽に公共交通機関を利用したくても、まだまだ利用できない現況ではないでしょうか。  現在、交通局の努力によりノンステップバスや超低床電車などが導入されてはいますが、そのバスや電車に乗車するまでの環境は、利用者にとっては大変厳しいものがあります。その結果が、言うまでもなく車しか使えない本市の交通体系ではないでしょうか。  公共交通の利便性向上のためには、利用者がもっと利用しやすく、利用できる、バリアフリー構造の都市交通体系の整備が最も必要とされるものであります。  公共交通の整備として長年にわたりその検討、対策に努力をされていますが、都市圏交通の基幹交通としてまず考えられますのは、他都市のように地下鉄、モノレール、新交通システムなどが挙げられるわけであります。  しかし、これからは、建設費や輸送力、環境問題に至るまで総合的に検討しながら基幹交通手段を選定し取り組む必要もあろうかと存じます。本市の場合、建設費も大きな問題でありますが、まずは採算性をも十分踏まえて対処されるよう望むわけであります。  一つの例として申し上げますが、年々利用者もふえてきております熊本港から熊本空港までを市電が使えるように、電車の路線を核とした思い切った交通手段を考えるべきではないでしょうか。  最後に、早急に取り組み実現可能と思える交通渋滞の対策として申し上げますと、百名以上の従業員を抱える企業に対し、交通コーディネーターを育成して、通勤自家用車を二割から三割削減する運動を提案するわけであります。このことについては、官民一体の交通渋滞対策に促進、努力されるよう強く求めておきます。  以上、提言も含め都市整備局長にお尋ねをいたします。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  都市交通対策に関する四点についてお答えをいたします。  まず一点目の道路の整備についてでございます。  国道三号、五十七号、二百六十六号、熊本高森線などにおきましては、田井島交差点や神水交差点など幾つかの主要交差点について立体交差の都市計画決定がなされておりますが、まだ実現までには至っておりません。  議員お考えのように、それらの主要交差点で計画どおり立体交差が実現すれば、交通混雑改善に効果が高いと思われますので、私どもといたしましても、道路管理者であります建設省や県に対して立体化の早期実現をさらに強く要望してまいりたいと考えております。  二点目のバリアフリー構造の都市交通体系の整備でございます。  本年五月に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」が公布され、バリアフリーに向けた整備が重要となってきており、これまで以上にバリアフリーに向けた整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  三点目は、市電を核とした基幹交通手段の整備についてでございます。  近年、路面電車は、環境にやさしく交通渋滞緩和の視点から国内外で注目を集めており、また、地下鉄や新交通システムと比べ建設コストも低く、将来の都市交通の担い手として期待されております。  本市におきましても、市電などの鉄軌道を基幹交通として位置づけしてまいりましたが、昨年の市民意識調査の結果などを見てみますと、以前にも増して市電への期待が高まっていると思われます。  したがいまして、新総合計画の重点施策の一つとして市電の活用を図ることとしておりますが、議員も冒頭で触れられましたように、現在、議会の都市活性化対策特別委員会の中で市電の延伸等について論議がなされており、この委員会の論議を踏まえながら、基幹交通としての市電の機能拡充に都市整備局としても交通局と連携を図り取り組んでまいりたいと考えております。  四点目は、官民一体の交通渋滞対策の促進についてでございます。  議員御紹介のように、米国等ではTDM施策推進の一環として企業内に交通コーディネーターを置き、自家用車の削減等に寄与していると聞き及んでおります。  しかしながら、我が国におきましてはTDM自体が緒についたばかりでございまして、本市においても、パーク・アンド・ライド、時差出勤等広範囲な交通渋滞対策を今後進めていく必要に迫られておりますので、議員の御提案につきましても貴重な御意見として参考にさせていただきたいと考えております。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  都市整備局長の答弁は確かに意欲的であり、広範にわたって取り組むという回答をいただきました。きょうもあすも朝夕のラッシュどきは交通渋滞でだれしもがうんざりする熊本市の道路であります。一日も早く解消、解決されるよう大きく期待をしております。  特に、都市活性化特別委員会では路面電車の延伸問題も出ております。どうぞ市民の足として、市民の核として、さらに実現可能なるよう当委員会の実りある審議を期待してやまない次第であります。  特に、交通局並びに都市整備局に要請をいたしておきますが、バリアフリーを私はとらえて言いました。せっかく高額な金をかけて超低床電車、ノンステップバスを走らせても、その電車やバスに乗るまでの距離はどうするのか。バス停まで二十分もかかる、歩いては行けない。あるいは電車に乗ろうとしてもなかなか基幹バスとの接合がスムーズにいかない。タクシーかあるいは自家用車でそこまで行ってノンステップバスに乗る、そういった実情であります。  今後において本当にバリアをとらえ考えていくとするならば、私はその広域なる目を向けて促進をしていただきたい、そのように思うわけでございます。  なぜならば、熊本駅前で──車いすの青年を自家用車で電停まで送っておいでておりました。「どこに行きますか。」「県庁に行きます。家内が用事でどうしても県庁まで行けないので、せめて電停まで送っていただきました。」  そういう話を聞いたときに、やはり、やさしいまちづくり三角市長が提唱されるわけでございますので、どうぞひとつその辺にも目が行き届くようなそういった行政であることを強く期待をし、お願いをしておきます。  次に、青少年問題についてお尋ねいたします。  最近、各地で少年による痛ましい事件が相次いでおります。特に今年に入ってからは、愛知県で、高校三年生の少年が人を殺す体験をしたかったと夫婦に切りつけたり、佐賀市の少年による高速バスの乗っ取り事件、岡山県では、野球部の高校生の少年が金属バットで後輩に重軽傷を負わせ、さらに母親を殺害。最近では、山口の十六歳の少年が母親を殴って殺害する事件や、つい最近では、大分県の十五歳の少年による一家殺人事件等々、いずれの事件も、いま一つ動機ははっきりせず、なぜと言葉を失ってしまう事件ばかりで、非常にためらいと恐ろしさすら感じる事件でありました。  それぞれの事件には個別の事情や背景があり、すべての事件を一括にして論じることはできないとは思います。ただ、金目当てや怨恨からでなく、動機がはっきりしないこと、また、これまで目立った非行歴のない少年が短絡的に重大な犯罪に走るいきなり型が多くなっているということ、すなわち青少年の問題が質的にも大きく変化しているということを、まず我々は新たに認識する必要があるのではないでしょうか。  また、新聞報道によりますと、県内においても、暴行や傷害事件、生徒が教師にけがを負わせるような校内暴力事件、シンナーの乱用など、深刻な事件が引き起こされております。  少年たちがこうした非行に走る前には、多くは前兆として飲酒や喫煙、服装の乱れといった問題行動があるはずであります。こうした非行の芽を我々大人たちがいち早く摘み取ってやることが重要ではないでしょうか。  最近では、路上で平然とたばこを吸う制服姿の少年少女をよく見かけますが、私自身は厳しく注意をいたしております。しかし、私の地元の老人会のお年寄りからお話を伺いましたが、年寄りが下手に注意をすると、逆に殴られたりあるいはナイフで刺されたりはしないかと思うと、怖くて注意はできないとおっしゃっておりました。  昔のように他人の子供をしかれない時代。こういったところに最近の青少年問題の難しさがあるのではないでしょうか。子育ての基本が家庭にあるのはもちろんのことでありますが、行政、学校、地域社会、市民の皆さんの一人一人が一体となった取り組みがあってこそ青少年の健全育成、非行防止ができるのではないでしょうか。  そこで、お伺いいたします。  まず、非行防止対策として本市には青少年補導センターが設置されておりますが、補導センターでは、青少年の非行防止にどういった取り組みを行っておられるのでしょうか。  また、警察、地域社会とはどういった連携をとっておられるのでしょうか。  次に、地域社会の取り組みとして、青少年の健全育成に中心となって活動されている団体が青少年健全育成協議会でありますが、青少年協議会のほかにも、PTAや防犯協会など、各地域の団体が青少年の健全育成、非行防止活動に積極的に取り組んでおられます。  こうした団体と青少協のかかわり方がいま一つ明確になっていないように思えるわけでありますが、青少協の位置づけと熊本市とのかかわりはどうなっているのか、二点答弁をいただきたいと思います。        〔村上智彦市民生活局長 登壇〕 ◎村上智彦 市民生活局長  家入議員にお答えをします。  まず、青少年補導センターの非行防止への取り組みでございます。  議員の御指摘にもありましたが、本市の非行防止への取り組みは、青少年の非行の芽を摘み取るという観点に立ち、補導センター職員並びに青少年補導委員によりまして、市内中心街や各地域のゲームセンター、カラオケボックスなどの問題の起こりやすい場所の巡回補導を行っております。  そして、飲酒や喫煙、怠学、禁じられたゲームセンターへの立ち入りなど、不良行為を行っている青少年に対しまして声をかけ、補導を行い、それぞれの悩み、あるいはそれぞれが抱えている問題などにも適切な助言を行っているところでございます。  次に、警察との連携でございます。  非行防止活動の効果を高めるために、本年四月、青少年補導センターの専任の所長として熊本県警から出向していただいておりますが、このほか、中心街補導での合同巡回指導、地域補導での交番の警察官の皆様に御協力をいただくなど連携を図っているところでございます。  次に、社会との連携でございます。  本市が委嘱した三百九十名の青少年補導委員の方々は、各地域の代表や小中高校の先生方から構成されておりまして、補導センター活動そのものが地域とつながった取り組みとしております。今後とも、地域の皆さんと一体となった取り組みに努めてまいりたいと考えております。  次に、青少年協議会の位置づけでございます。  青少年健全育成協議会は、各地域の団体と相互に連携、協力を図り、一体となって青少年の健全育成に取り組んでいくために結成されたものであると認識をいたしております。  この協議会の役員の多くは、各地域の自治会、防犯協会、PTAの代表から構成されておりますので、今後とも、各団体との連携、協力について本協議会にお願いをしてまいりたいと考えております。  最後に、本市との関係でございます。  各校区の青少年健全育成協議会に対し、運営費の助成と中学校区さわやか推進事業の委託をしております。今後は、今年三月に策定した青少年育成計画を地域に根づかせ、市民総ぐるみによる青少年育成を推進していくための地域の核として相互に連携、協力を図ってまいりたいと考えております。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  市民生活局長から説明を受けました。それぞれの分野、それぞれの団体で青少年育成については取り組みのようでありますが、私は、教育には、家庭教育、社会教育、それなくして子育てはないと思います。地域社会の健全なまちづくり、あるいは人づくりに寄与され、こういった問題が二度とないように、本市では起こらないように努めていきたいと思うわけであります。  質問の通告からいたしますと、ごみ減量・リサイクルへの取り組みについて環境保全局長にお尋ねいたすところでありましたが、先般、六月議会において下川議員より、私の尋ねたい問題はほとんどお尋ねがありました。  重複してあえて申し上げようかと思いましたが、答えも変わらないと思いますので、今後、あの答弁のように、六十七万の市民生活、あるいは環境を守るために、環境保全局挙げて、ごみ減量・リサイクルに取り組んでいただきたいわけでありますが、この際、一言だけ要望を申し上げておきます。  先ほど申し上げましたように、県内のあるいは市内の中小零細企業の皆さんは、この不況下であえしのぐ実態であります。しかし、あすは、来年はという望みと希望をかけて精いっぱい事業に取り組まれております。その事業系から出されるごみについてであります。  担当部局より、既にここ二、三年徹底的に指導依頼を受けながら、市民から出るごみはかなりの分別ができました。残されるものは事業系ごみであります。  これも、本市担当部局からは再三にわたってお願いと周知徹底の手を施されております。  私は、春先にマスコミでいろいろ疑われましたが、私も一人の事業者として、この上ない厳しい実態であります。圧力をかけたり、あるいは支払いを怠った、そういう経緯はありません。事業をするにも非常に厳しい今日の情勢であります。  これを踏まえて、担当部局の今後さらなる指導と協力をお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。  三角市長にお尋ねをいたします。  市長は就任以来、今日に至るまで、市政運営の基本姿勢を、一貫して市民との「双方向の対話」ということに視点を強く置いてこられましたが、私は、今、ここに来て、その成果が結びつつあるような気がいたします。  と申しますのが、以前、清水市民センターで三角市長を囲み市政懇談会が開催されましたが、出席をされた地元の有志の方々から「これまで思っていたことを市長に尋ねたところ、はっきりとした説得力のある答えが返ってきた。市長の市政に対する問題意識と真摯な取り組みが感じられた。また、懇談のやり取りで、市政や市長を身近に感じ得た。」などなどの意見を耳にいたしたわけであります。  そしてこのことは、地元高平台校区の方々に限らず、日ごろ私たちが市政について語り合う市民の各界各層の方々との席でも、老若男女を問わず、よく聞かされるところであるからでございます。  このことは、市長の六十七万市民を相手とした地道な直接対話の姿勢が、これまでの行政主導型の市政のあり方を改め、市民との相互理解を深め、ひいては人づくり、まちづくりに実を結んでいるものであり、今後もいくものと考えるわけであります。  しかし今日、地方自治体は、地方分権、情報公開、行政改革の推進など、さまざまな課題を抱えていますが、一方で市民も、教育の荒廃、長引く不況、高齢、情報社会への対応など、数多くの問題に直面いたしております。  新世紀を指呼の間に、これらの問題の解決策が模索されるとき、私は、まさに市長の掲げる市民との「双方向の対話」の姿勢が重要なかぎを握るものと確信をし、全く同感、同意するものであります。  そこで、二十一世紀を目前に、二期目にある三角市長は、これからも、市政運営の基本に、市民の意見を積極的に取り上げていかれるかお尋ねをいたします。
           〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  家入議員におかれましては、私の市政運営に当たる基本姿勢について深い御理解をいただき厚く感謝する次第であります。  私は、幸せを実感できる都市の実現ということで双方向の対話を最初から公約として掲げさせていただきました。ところが、いろいろ問題もございました。  交流サロンをつくりまして今六年、長もちをしておるわけであります。  松戸の市役所あたりでは「すぐやる課」をつくりましたが、すぐなくなりました。これは結局、苦情が非常に多かったと。苦情はもちろん聞かなきゃならないわけですけれども、行政に対する苦情じゃなくて、いわゆる家庭争議とか、兄弟の地権争いとか、そういうもののやるせない案件を持ってこられるということが非常に多かったというようなことを聞いております。  私どもの方もやはり苦情が多かったのですけれども、私ごとの苦情より公の苦情、そういったようなものに変わってまいりました。その後、提案型というものにかなり変わってまいりました。その次に協力型というふうな形になりまして、非常に理想的な相談窓口になってきたなというふうな思いをいたしております。  私自身が交流サロンに出ておりますときに、本当に私的なやるせない苦情もお伺いをいたしておりまして、法的にできることであればという思いもしながら、いわゆる高齢者の財産管理の公的関与の問題等々につきましても、その辺から生まれてきたことじゃないかなという思いをいたしております。  しかし、行政がどうにもできないこと、そういう問題については、やはり弁護士さんなり法廷の場にというふうな形もあり得たことでございますし、その後、非常に感情的に来られる方々もありまして、警察からの指導もありまして、注意をしていかなきゃならんということも再三忠告をされたところでございます。  しかしながら、公の立場といたしまして、市政相談あるいは出前交流サロン、市政懇談会、こういった公のものに対しましてはより以上に積極的にしていかなきゃならんなと思っております。  また、私も大変後ろ髪引かれるというか、今でも問題が残っておりますのは──公人として行事の処理に要する時間が非常に多い、そういうことで、私的に少数の方々と長い時間とって話せないということが、自分自身も大変いら立たしい思いもいたしておるところでございます。基本的には私は双方向の対話をより以上に積極的にやっていかなければならないなと思っております。  また、私も人間でございますので、少し体調が悪いときにお酒が入りますと急激に酔いまして、そのときに、よしあしの判断というか、夜相談を受けたり陳情を受けたりすることに対しての返事が、なかなか即答ができない。即答しても、本当だったかなという思いをしたりなんかすることは、注意しておりますものの、年に何回かはちょっと酔っ払っていくこともありますので、その辺も御理解をいただくならば大変幸いだなというふうな思いもいたしております。公的時間にはそういうことは決してありませんけれども……。  もう一つは、公的な制限された職場の時間の中で、私の方が陳情書をお受けしますと、これは市長が受けたから必ずできるんだという思いをされておりまして、その次に会うときには、何でやらんかという形に変わってまいります。  この辺のやり方も非常にいろいろ問題がございまして、御理解をいただくように積極的に対話をしていかなきゃならんなという思いもいたしておりますので、どうか、議員の皆さん方にも御理解をいただき、積極的な双方向の対話ができますように御支援、御協力賜りますようにお願いを申し上げたいと存じます。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  その他の項目で申し上げたいと思います。  私の地元熊本市北部地域に対して質問をいたしたいと思います。  このところ、風向きか、厄回りとして悪いのか、市北部域の問題で余り了としない話題や、マスコミに取りざたされ、厄払いでもせねばと悩む今日であります。  まず一つには、先ほど申し上げましたように、清水万石の公園問題であります。二つには、非常に残念なことでありました高平台コミュニティー建設の問題であります。両地、両問題も、地域住民としては、長年の切望とする公園、センター建設でありました。  本議会にあえて私が取り上げますのも、当該地域住民の方々としては、本市行政に申しわけない、せっかく、議会でも、予算も、認定も、議決をいただきながら、各事情により実現できなかった。今後の進め方に気を痛めるばかりの現況である、そういった気持ちであります。  公園、やさしいまちづくり、人づくりであります。何回も申し上げますが、万石公園は、用地としても、地形としても、本当に数少ない場所設定でありました。小さい子供さんが、老人の方々が、地域での唯一の触れ合いの場所として、適地として希望の上がった公園用地であります。  いろいろ問題も取りざたされていますが、希望、切望するのは、小さい子供さん、老人、まさに弱者の大きな希望であります。  そしてまた、高平台コミュニティーセンターも同様、数少ない場所であり、地域の触れ合いコミュニティーとして、多くの地域住民の願望として、どうしてもセンターは必要とするのであります。  公園用地購入問題では調査委員会もできているようであります。  重ねて申し上げますが、一日も早く結論を出され、公園設置実現するよう関係部局の努力をいま一度お願い申し上げます。  高平台コミュニティーセンター設置につきましても、校区住民として、地域として、いま一度仕切り直しとして十分討議、協議を重ね進めてまいりますので、これまた、担当部局の深き厚き理解と、御尽力いただきますよう切にお願いをしておきます。  お尋ねをいたしますが、これまた高平台校区内の問題であるわけでありますが、当地清水山室に、市営住宅用地として広大な荒れ地となっている用地があります。  既に購入をされて、はるかに時間も、相当年月もたっております。今までにも私の質問のたびごとにお尋ね、要望いたしてまいりましたが、今もなお、夏は草ぼうぼうで害虫のすみかとなり、冬場は枯れ草などで周辺住民は火災の心配で大変な実情であることであります。  快適な環境であるべき地域も、今や自然環境とはいえ、まさしく環境公害として地域住民の悩みの種であり、市行政不信にもつながりかねません。  新聞紙上連載のように記載されています石切り山公園も大切でありましょうが、長きにわたり空地、荒れ地と化した住宅建設用地、山室の用地を今後どのように対処されていくのか、担当部局か三角市長のお考えをお聞かせください。        〔松下尚行建設局長 登壇〕 ◎松下尚行 建設局長  山室の住宅用地の今後の対応について家入議員にお答えいたします。  御指摘の清水町山室の市営住宅建設用地は、昭和六十一年及び六十三年の二カ年で取得したものでございます。  当時は、恵まれた自然環境に囲まれ、都心からそう遠くない位置にあるということで、市営住宅建設用地としては適地であると判断し取得したものでありましたが、取得後、排水処理の問題が発生し、地元との協議が進展せず、建設着工が遅延していたものでございます。  平成七年に至りようやく地元との協議が成立し、市営住宅の建設も可能な状況となりましたため、平成十年度に策定いたしました市営住宅整備の十カ年計画の中に組み込み、計画期間後期の着工予定としたところでございます。  なお、このことは、当時の隣接地に比較的規模の大きい民間開発が予定されていたためであり、計画的なまちづくりと良好な住環境形成のためには、道路を初め周辺環境の整備などについて民間開発との整合を図り一体的な開発を進める必要があると判断し、その民間開発の動きを待って市営住宅の建設に着手することとしたため計画の後期に位置づけたものでございます。  御指摘いただきました雑草の問題につきましては、現在年二回の除草を実施し、地域の皆様方に御迷惑を及ぼさないよう配慮しているところでございますが、今後さらに職員による巡回などを徹底し、周辺環境の保全に努めてまいりたいと存じます。        〔十八番 家入安弘議員 登壇〕 ◆家入安弘 議員  建設局長、淡々と答弁を述べられました。  きのうきょう用地を購入したのではありません。十年そこそこの経過があるとおっしゃいましたが、最初の入り口からするとそれ相当の年月がたち得ております。そして答弁の内容によりますと、周辺に民間開発の予定があると、それを踏まえて住宅建設をすると。もう何年経過しているでありましょうか。  私は以前に、あの山室の用地はそれなりの、建設局のモデル住宅建設としてつくるがために購入しましたとお伺いをしております。  周辺の民間開発を踏まえて住環境整備をすると、もちろんのことであると思いますが、当地区についてはあの三号線が南北に走り、坪井川に水はけをするにも容易な問題ではありません。今もなお一雨降ればすぐにでも水害を生ずる地域があります。  どうぞひとつ十カ年計画を策定され、あの広大な荒れ地と化した山室の建設用地を計画策定とされるならば、まず先ほども局長がおっしゃったように、道路あるいは住環境整備を十分踏まえて住宅建設に取り組まなければ、後、市営住宅は建てたが水害だ、あるいは地域住民は困り果てると、そういった建設につながらないように十分検討していただきたいと、そのようにお願いを申し上げます。  本日は唐突なる質問を三角市長初め各局長に行いました。質問が質問であるがゆえに、市長も局長も非常に答弁に苦労されたと思いますが、心ある答弁、前向きの答弁をいただきました。今後、六十七万市民のために私も精いっぱい頑張る決意を申し上げまして本日の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○鈴木昌彦 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。                午前十一時三十七分 休憩                ────────────                午後 二時  四分 再開 ○江藤正行 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。      ───────────────── ○江藤正行 議長  質問を続行いたします。亀井省治議員。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇 拍手〕 ◆亀井省治 議員  公明党の亀井省治でございます。  早速質問に入ります。質問通告の順に従い、第五次総合計画について、行財政改革、教育問題、環境問題、まちづくりについて、そして公共事業についてというふうに進めてまいりますが、午後の限られた時間でございますので、市長初め執行部におかれましては簡潔にして明快なる御答弁をお願いしておきます。  第五次熊本市総合計画に関しまして。  まず、二十一世紀の新たな百年における基礎をつくるまちづくりの基本指針として第五次熊本市総合計画が策定されつつありますので、これに関連した問題を取り上げて質問したいと思います。  国際化、情報化、高齢化が急速に進む中で、私たちの生き方は次第に多様化し、個性豊かな生涯を送ることが可能になってまいりました。それぞれの人生でどのような選択肢を選ぼうとも、人間性豊かに、互いに共存し、意義ある一生を全うできる社会こそ私たちが目指す目標でございます。  そのためには、現在の制度や機構をどのように改革していくべきか、そこに焦点を当てて政策の骨子を立てるべきであろうと考えます。  本年十月には熊本市の基本計画が決定され、実施計画も本年度中に完成の予定と聞いております。計画期間は平成二十二年度とし、中間年の平成十七年度に総点検を行うとしております。  さて今日、国においては、景気対策という名のもとに、いわば垂れ流し的に借金推進財政を進めていますが、景気が安定してくれば、地方財政について、地域によっては借金地獄に首が回らなくなっていることがはっきりしてくると予測できます。  確かに、補助金をもらえば財源は確保できるということなのですが、財源不足や国債依存度の高さ、国、地方合わせて六百兆円と言われる債務残高に対する問題意識は、補助金のあり方や地方財政計画の仕組みに早晩影響を与えてくることになります。  そんな状況の中、今後、市民本位で効率的な質の高い行政を実現するためには、行政施策ごとの成果を重視し、かつ評価するシステムが必要になります。  従来、行政においては、法律の制定や予算の獲得などに重点が置かれ、その効果や、その後の社会経済情勢の変化に基づいて政策を見直すといったことは軽視されがちでした。  つまり、一度政策を決めて予算をつけてしまった後は、それを見直すことには及び腰なのであります。効果が上がらず失敗だったとしても、担当者は二、三年で部署がかわり、責任の所在もわからなくなっていく、そんな状況にあったのではと思われます。そんなことではいけないし、もう、そうしたことはやめなければなりません。  今後は、事後に厳正かつ客観的な評価を行い、それを次の政策立案に的確に反映させるべきであります。それには情報公開法の施行とあわせ、政策評価制度を組み込んだ運営をすることで、今までの行政作法や行政社会の文化を改善する必要があると思うのです。日本ではまだまだなじみの薄い制度ですが、政策評価という手法は世界の行革先進国では当たり前なのであります。  おくればせながら我が国においては、中央省庁を現行の二十二省庁から、全体を調整する内閣府を中心とした一府十二省庁への再編が来年二〇〇一年一月六日からスタートしますが、これに伴い政策評価制度が導入されます。  公明党では、中央省庁再編の論議過程で行政評価法の制定を強く主張してきたところです。とりあえず今回政策評価制度の導入が実現できました。総務庁では十日、来年の通常国会への行政評価法案(仮称)の提出を目指して作成作業を進めるために政策評価制度法制化担当室を設置しており、同室の作業に大いに注目したいと思います。  これは各府省がみずからの政策の効果を客観的に判断し、むだを省き、その後の政策に反映させていくための制度です。むだな公共事業を見直したり、行政の透明性を高める効果が期待できます。  どちらかと言えば、これまで予算偏重であった視点が、結果重視の方向に転換され、内容も、行政が伝えたいサービス内容から、国民が知りたい行政目標と、その結果へ力点が移されていきます。これは非常に好ましいことであります。  そこで、このような政策評価制度の導入について、第五次熊本市総合計画で明確に位置づける必要があると思うのであります。  また、どこの自治体でも、まちづくりをするために、まず総合計画をつくっております。それから具体的財源の配分のために予算が編成されます。しかし、これまでの総合計画では予算編成とのつながりが不明瞭だったと思われるのです。  政策評価の実施を視野に入れるならば、基本構想から実施計画に至るまでの計画の整合性はもとより、実際の予算との連携が確実に行われることが不可欠であります。  そこでお尋ねします。  まず一点目として、第五次総合計画において、政策評価制度の導入をどのように考えておられるのか。  二点目に、第四次総合計画の総括も踏まえ、第五次総合計画において予算との連携をどのように進めていかれるのか、企画調整局長にお尋ねいたします。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  第五次総合計画について二点のお尋ねでございます。  まず、政策評価の導入についてお答えをいたします。  市総合計画は、御承知のとおり計画的な行政運営の指針となるものであり、その時代時代に応じて求められる役割や計画の性格そのものも変化をしております。  今回策定いたします第五次の総合計画には、少子高齢化や高度情報化社会の到来、さらには地方分権や規制緩和の進展などを背景として、国と地方、あるいは市民と行政の役割分担に基づく新しいまちづくりの仕組みを構築していくことが求められていると存じております。  このため、今後行政は、市民生活の視点に立ったさらに効率的で質の高いサービスの提供を目指すとともに、市民への説明責任も果たしていかなければなりません。  御提案の政策評価システムの導入につきましては、このような新たな行政課題に取り組んでいく上で必要不可欠な事柄であると認識をいたしております。  そこで、新総合計画におきましては、政策評価に対応できるよう、施策、事業に対する管理指標や具体的な達成目標の設定などを考えているところであり、今後は、御案内の国の動向を注視しながら、本市の実情に応じた政策評価システムの導入を進めてまいる所存であります。  次に、二点目の第四次総合計画の総括を踏まえての第五次総合計画と予算との連携についてでございます。  第四次総合計画につきましては、計画策定後のバブル経済の崩壊に伴う税収の伸びの鈍化や、行政需要の変化に伴い、一部計画事業を縮小、凍結したものもありますが、市民生活に直結する住環境の整備や、福祉、環境保全などを中心に、事業費ベースで七四%、項目ベースで九四%の達成率となっております。  このように、前計画は一定の成果を上げたものの、一方では予算との連携が必ずしも緊密ではなかったことから、税収の変化等に柔軟な対応がとれなかった面も否めません。  そこで、今回の第五次総合計画では、予算との連携に特に意を用いているところであります。  具体的に申し上げますと、基本計画においては、中期財政計画との整合を図りながら、事業費規模や実施年度の見通しを明確にするとともに、実施計画では、費用対効果や目標達成度に基づき、毎年度の予算と連動した正確な進行管理を行いたいと考えております。  さらに、総合計画に基づく政策方針を毎年度の予算編成に確実に反映させるため、早い段階から全庁的なヒアリングを行い、次年度の施策展開の基本方針を決定する、いわば国で言うところのサマーレビューのような制度を導入するなど、実効性の高い計画づくりに努めてまいる所存であります。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  政策評価システムの導入については必要不可欠な事柄であり、新総合計画には対応できるように、本市の実情に応じたシステムの導入を進めるとのことでございました。  また、第四次総合計画の総括では、事業費ベースでは七四%の達成率とのこと、また新総合計画では、基本計画、実施計画で毎年度の予算と連動し正確な進行管理を行うということでございました。ぜひとも実効性の高い計画をお願いしておきます。  さて次に、「小さな自治体」を合い言葉に各地で民営化や民間委託の試みが始まっております。  五月五日の「日経新聞」では、地方自治経営学会の一つの試算を取り上げておりました。  それによりますと、学校、庁舎警備、文化スポーツ施設の管理など、自治体の主な直営事業をすべて民間委託した場合、人口十万人の自治体では年間三十億円を削減する効果があると言います。日本全体に当てはめると約三兆九千億円、全市町村の歳出総額の約七・五%が浮く計算になるとのことであります。  民間委託にすると、パートの活用など人件費を低く抑えられるメリットがあります。その結果、ごみ収集では直営事業の四六%、ホームヘルパー派遣では四九%、学校給食では五五%の事業費で済むと見ております。  その実例を紹介します。  その一つは、埼玉県の三十万都市、越谷市です。九六年度から市内全域で、市の直営だった高齢者向け在宅入浴サービス事業を民間委託方式に切りかえたところ、市内四地区のうち三地区で、二年間で経費が三分の一に低下しております。  そしてまた、東京都区部では学校給食の民間委託が広がっております。豊島、板橋区などで既に七区が導入、特に足立区では区立小中学校の七割以上まで拡大できました。その結果、八六年度に開始して以来、給食費を二十八億円も節減できたとしております。
     さらに兵庫県尼崎市では、財政難を理由に、来年度から市内四十五カ所の市立保育園のうち十カ所を順次民間に移管する方針を打ち出しました。  仙台市では、古くなった公立保育園の建てかえに合わせて、今後は、施設ごと民間の保育園に貸与する公設民営方式に切りかえる計画ができております。  民間委託が拡大しているのは、受け皿となる企業が育ってきた面が大きいわけです。  三菱総合研究所の佐々木俊介研究理事は「自治体の行政サービスのうち、ごみ収集など現業部門は民間に任せ、その分で企画立案部門を強化すべきだ。」と提言しております。  また、HLSの吉田取締役は「福祉は行政がやるものという住民の意識は変わっていく。」と予測しております。  このような実例が示すように、民間導入の動きは今後はますます経費削減、行革の切り札として進められ、公と民の適正な役割が見直されていくと私は思います。  そこでお尋ねします。  行革大綱及び推進プログラムについて、その見直しに着手されておる三角市長に、行政改革推進についての御所見と、民間委託への考え方を伺いたいと思います。  次に、市民サービスの観点からの質問です。  職員の接遇に関する研修はどのような内容で実施されているのでしょうか。市民に親しまれ、まじめにその使命を果たしておられる多くの市職員の中で、残念なことに職員の不評や不祥事も後を絶ちません。  愛知県尾西市は、毎年五月と十一月の各一カ月間、行政サービスの状況を知るため職員の対応や説明等を市民に直接評価してもらう「行政サービス評価制度」が実施されております。この試みは、いわば職員の通信簿を市民が採点するというもので、アンケート方式で行われており市民から大変注目されております。  評価の内容は、一、職員のあいさつ 二、職員の身だしなみ 三、言葉遣い 四、職員の説明や態度 五、用件が済むまでの時間の五項目です。市民がつける評価も、「大変不満」「不満」「普通」「満足」「大変満足」の五点まで。  各課、施設は、市民の評価表に基づき、平均点三点未満のものはその原因をよく調べ解決策の検討を行う。その集計結果と解決策を広報で市民に公表しております。  こうした試みにより、市民感覚に立った市民サービスができるものと、市民、行政側ともにアンケート結果に期待する声が大きいとありました。職員の質と行政サービスの向上を目指す一つの方法ですが、本市での取り組みを総務局長に質問し提案をいたします。  さきに財政状況を明確にし、行政経営の観点からバランスシートの導入を提案してきたところですが、六月議会で「今年度中にバランスシートの作成」が発表になりました。一歩前進として、その効果を期待したいと喜んでおります。  さて、平成八年度から取り組んでいる行政改革推進事業もことしが最終年度となりました。熊本市の行革の状況はいかがでしょうか。今まで行財政改革問題を本会議でもいろんな角度から取り上げてまいりました。くどいようですが重ねて質問いたします。  行革推進プログラムについて、平成十一年度中期目標の進捗状況を明らかにしてください。  また、効率的な事務運用、外郭団体の見直し、審議会の見直し、徴収率の向上、事務経費の削減、臨時職員の削減、時間外手当の削減、熊本市職員健保の保険料率等、経費節減などで一体どのくらいの実績が出たのかを示していただきたい。  さらには、行政改革大綱の中の外郭団体の見直しについて掘り下げてお尋ねいたします。  まず、熊本市が出資した外郭団体数と出資総額、そして経営状況の分析と累積赤字はどれだけかを示していただきたい。  外郭団体では、人事の固定化、業務のマンネリ化、各団体の事業を評価する機能が欠けている問題などを抱えております。  そこで、それぞれ団体の統合、廃止、事務局の統合、役員、職員数の見直し、さらには、団体への補助金や派遣職員の見直し、または削減した実績等、改革の実績も示していただきたい。  これまで熊本市の外郭団体は行政補完型でありました。それをさきの行革大綱で、今後は補完機能にとどまることなく、本来の設立の趣旨である行政の公共性と企業の効率性を発揮、弾力的な事業展開をするように改革へ方向づけをし、具体的にプログラムを示したのでした。そして大事なのは、その成果が出たのかどうかであります。  各団体ともいまだに熊本市からの委託金、補助金に全面的に依存して、市職員の出向という形で人的支援を受けている現状、大きなメリットであるはずの経営の効率、コスト削減等への取り組みは十分なのか、疑問であります。この点も明確にしていただきたい。  委託者たる熊本市の問題としては、直営と委託の経費の比較は本当に十分になされたのかどうか。市民サービスと経営に関して、行政責任はどこまでかを明確にしてあるのでしょうか。  そしてまた、人事の管理面では、必要な人材が必要な時期に適正に弾力的に確保されているのか。昇任、昇給、適正な職員数、能力開発、研修システム、各団体間の人事交流、そして各団体の自律・独自性、市職員の出向や市OB職員の雇用が上級役職を占めることから、プロパー職員の意欲低下と出向職員の身分の不安定さ等の不利益問題についての改革はどうなのか。  最後に、外郭団体に対する評価の機能が欠如しているのか、または不十分のため、それぞれの事業についてフィードバックが働かず、何ら改善が加えられることなく、ひたすら繰り返されるといった惰性の不利益を招くことへの責任はどこにあるのでしょうか。  今まで具体的に指摘しました事項について、問題解決のための御答弁を企画調整局長にいただきたいと思います。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  ただいま民間委託の事例を挙げて、具体的な数字でその経費的な効果をお示しいただきましたが、効率的な行財政運営を進めていくためには、民間委託は非常に有効な方策の一つであると存じておりますし、その推進のため、すべての事務事業について、行革大綱に述べております民間委託の基準にのっとって、行政としての責任を確保するなどの万全の策を講じつつ取り組んでまいりたいと考えております。  一方、現在、行革大綱及び推進プログラムを一年前倒しで見直すための準備を進めておりますが、これは「限られた財源と人材とを新たな行政需要に再配分・再配置することによって、時代に即応した新たな行政展開を図る。」と位置づけております本市の行政改革への取り組みを決して途切れさせないよう継続していくことが求められていると考えるからでございます。  つまり、少子高齢化、高度情報化、国際化、さらには地方分権といった時代の変化に的確に対応しつつ、第五次総合計画の確実な推進、財政の健全化といった市政における重要課題の解決を図り、同時に、市民の視点に立った行財政運営を展開していくためには行政改革が不可欠であり、その推進にこれまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので、一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。        〔松村紀代一総務局長 登壇〕 ◎松村紀代一 総務局長  私の方から一点、職員の接遇研修についてお答えをいたします。  市民の皆様に親しまれ信頼される市役所であるためには、職員の資質の向上と心のこもった接遇態度の向上に意を用いていかなければならないと考えております。  このようなことから、職員の接遇研修にはこれまでも積極的に取り組んできたところでございますが、今なお接遇に対する認識の甘さが指摘されているのも事実でございます。  そこで今年度からは、なお一層の接遇改善を図るため、新たに管理職特別研修を実施いたしますとともに、指導的立場にあります課長補佐級以上の職員を接遇改善推進員として全職場に配置し、積極的な職場内研修を実施するなど、全庁を挙げて接遇の向上に取り組んでいるところでございます。  また、議員から貴重な御提言をいただきました愛知県尾西市における行政サービス評価制度につきましては、職員の接遇態度向上の一つの手法として大変興味深い制度かと思いますので、早速制度の内容や実施状況等を調査検討させていただきたいと思います。        〔齊藤聰企画調整局長 登壇〕 ◎齊藤聰 企画調整局長  行財政改革について二点お答えをいたします。  まず、行政改革の平成十一年度実績についてお答えいたします。  御質問いただきました経費の改善につきましては、五十億円の改善を数値目標の一つとして取り組んでおりますが、まず、事務事業の見直し、事務経費や臨時職員の削減、時間外勤務の縮減等によりましておよそ二十一億四千万円、職員数の減や公共工事コスト縮減、普通財産の売却によりまして約二十七億五千万円、合計約四十八億九千万円の改善を達成し、十一年度目標としておりました三十五億五千万円を上回る実績を上げております。  しかしながら、財源の確保としての市税等の徴収率の向上につきましては、さまざまな特別徴収対策を講じましたものの、長引く景気低迷の影響も受け目標を達成することができず、今後の取り組みを再検討することといたしております。  また、市議会での御指摘を踏まえまして、本年度から職員健康保険組合の保険料負担率の見直しを行いました結果、前年度と比べますと約一億九千万円の負担減となっております。  引き続き、外郭団体の見直しについてお答えをいたします。  本市では、国際交流振興事業団を初めとして、合計十七法人を外郭団体ととらえておりますが、その基本財産のうち市の出資総額は十二億六千八百万円となっております。  また、各法人の経営状況につきましては、それぞれの法人において、寄附行為等にのっとって適正な運営がなされ、日常的にも効率的な執行が行われていると存じておりますし、累積赤字につきましては、市からの業務を受託するという現在の団体のあり方から、その発生はないものと考えております。  一方、行政改革における外郭団体の取り扱いにつきましては、推進プログラムとして八つの項目を掲げ、その見直しや活性化に所管部局との連携を図りつつ取り組んできたところでございますが、その成果といたしましては、市からの受託事業の拡大や団体間の給料表の不均衡の是正等への取り組みを進めてまいりました。  さらに、市からの派遣職員につきましては、各団体の自主性や主体性を高めるため、八年度ベースの八十二名から十二年度には四十六名と、三十六名削減いたしましたし、委託料や補助金につきましてもより効率的な運営を促進するため、十一年度当初予算での総額約五十二億七千万円を、十二年度当初予算では約四十三億九千万円と、制度の見直しを含め、事業費ベースで約八億八千万円の減、一般財源ベースでは約二億五千万円の節減を図ったところでございます。  しかしながら、外郭団体の見直しにつきましてはさらなる取り組みの強化が必要であると認識しておりまして、推進プログラムの見直しに際し、「外郭団体などに関する運営指導の充実」という新しい項目を設け、全庁的に統一化された基準にのっとった運営指導を進めるとともに、経営状況を含めた情報の公開や合同の職員研修の実施、さらには団体間の人事交流の促進等に取り組んでまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、ただいま御指摘いただきました外郭団体の見直しに関する課題につきましては、それぞれの外郭団体との十分な協議を踏まえながら、そのあるべき姿を検討してまいりたいと存じておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  三角市長から、民間委託に関しまして、行財政運営に非常に有効な重要な方策の一つであるとの認識で取り組むというようなことで、ぜひそのように進めてもらいたいんですが、ちなみに平成十一年度決算で、ごみ処理の経費というのは幾らだったかというと、約五十四億九千四百二十二万円でした。それをさきの試算に当てはめてみますと四六%で済むということですので、二十五億二千七百三十四万円で済みます。そうしますと二十九億六千六百八十八万円が節約できるわけですね。  また、学校給食経費では、十一年度が約三十二億二千百三十九万円の支出でしたので、同じく試算しますと五五%の事業費で済むとのことですから、約十四億四千九百六十二万円が浮くという計算になります。  この金額はただごとではございません。合計が約四十四億。単純計算ですけれども、年間に四十四億ずつ浮くということになります。そうしますと、それだけコストダウンできるわけですから、四十四億という金額は、学校はぼんとできるし、団地でも毎年できるということが推測できます。  また、学校給食に関しましても──熊本市の小中学校の生徒が六万三千人です。二学期からは給食費が上がるそうです。年間に、小学校は三万八千円、中学校は四万一千円支払いがあります。給食費もらっていますね。だけども、その十四億四千万浮く金をそれに当てはめますと、給食費は小学校で四割で済む、中学校では五割、半分で済むということになるわけです、これは単純ですけれども。  そういったことですので、見直しに反対する市民はおりませんので、計画的にぜひとも取り組んでいただきたいと思います。  行政サービス評価制度導入では、調査検討するとのことですが、十一年度中期目標の実績は、数字の上では着実な結果が出ておりますので、本当によかったなと思っております。  外郭団体の統廃合を含めた見直しでは、全庁的に統一化された基準で進める検討をするということですので、今後の推移を期待を持って見守りたいと思います。  次に、教育問題に移ります。  青少年健全育成のための教育改革について質問いたします。  二十一世紀は、人間主義を基調とした人間尊厳の世紀でなければなりません。「人間は教育によってのみ人間になることができる。」とは、ドイツの哲学者カントが残した言葉ですが、まさに教育は人間をつくり、人間を育てる聖業、使命であり、すべてにおいて最重要課題として取り組まなければならない大事業であります。  世界は既に国家や民族を超えたグローバルな活動を展開しつつあります。そうした環境のもとで活躍、貢献できるのは、偏狭な利害にとらわれるのでなく、人類益という立場に立って行動できる世界市民なのであります。その世界市民を育てることこそ来るべき世紀の大きな教育テーマであります。  そこで、熊本市においても人間教育の政策を最重要とし実践されるよう強く望むものであります。  現在、戦後教育の制度疲労と相まって、家庭教育、地域教育の力が低下し、いじめや不登校、さらには凶悪な少年犯罪の増加などが大きな社会問題となっております。  私たちは、現状の諸課題に真っ正面から取り組むために、一人一人の多様な状況に対応できる、きめ細かな教育が実現できる環境づくりを行いたいものです。  イソップの童話にカニの母子の話があります。母が息子に言う。「横ばいをしてはいけませんよ。脇腹を、じめじめした岩にこすりつけてもいけません」。息子は答えた。「お母さん、教えていらっしゃるあなたが、真っすぐ歩いてください。そしたらあなたを見て、そうなりたいと思うでしょう。」と。親ができもしないことを子に押しつける。それでは、子供を健全にはぐくむことは無理でしょう。子は親の背を見て育つと言います。  また御書に「麻の中に生えたよもぎ、筒の中に入ったヘビが真っすぐになるように、善人と親しく交わる者は、それだけで心も行いも言葉も、真っすぐになる。」とあります。大人の振る舞いや周囲の環境が子供に大きな影響を与えるということなのです。  ところで、規範や道徳に関する子供の国際比較調査の結果がさきに文部省から発表されていました。それによりますと、「いじめを注意した」「困っている友達の相談に乗ってあげた」などは最低でした。また「うそをついてはいけない」「弱い者いじめはいけない」などと親から言われる割合も最低だったと言います。  悪いことを悪いと叫べず、悪と戦うことができない、そんな大人社会の事なかれ主義が、子供たちの心をむしばみ、いじめを見て見ぬふりする風潮をつくり出すのだと思います。  最近、世間を騒がせた中学生の五千万円恐喝事件や、十七歳少年による愛知県の主婦刺殺事件、バスジャック事件などから共通して言えることは、「人を傷つけるいじめや暴力は絶対にあってはならない。」という生命の尊厳の思想がすっぽりと欠落しているということでございます。  さきに総務庁が発表した「青少年の暴力観と非行に関する研究調査」では、「いじめられている人をかばうと、自分もやられるかもしれない。だから、知らんぷりをするのは仕方がない。」と、中学生では四割、高校生では半数近くがこのように考えています。 「最近の若い者は……」という大人の嘆きが聞こえてきそうですが、では肝心の大人社会ではどうでしょうか。  いじめを見て見ぬふりをするどころか、隠ぺいしようとする学校や教師、薬害エイズ事件で、自己の利益と保身のために患者を見殺しにした医師、製薬会社や厚生官僚。ストーカーや恐喝に悩み、相談に来た市民をじゃけんに扱ったり、「指導」と称して同僚に集団暴行を加える警察官。そして社会の矛盾に苦しむ人々を見ても無気力、無関心な多くの大人たち、そんな大人社会。私自身も偉そうなことは言えませんが……。  こんな姿を見せながら、子供たちに「いじめはいけない」「命を大切に」などと諭したところで、反発こそすれ、だれが言うことなど聞くでしょうか。調査でも、中高生の四一%が「暴力がはびこるのは、大人がだらしないからだ。」と答えています。  子供は大人社会を映し出す鏡であります。まず大人自身が正しく生と死を見詰め、弱者に寄り添い、悪を正しいく社会を築くことが問題解決への第一歩だと思います。  先日、NHK教育番組の「好きな先生」の調査で、評価のトップは「気楽に話せる」でした。その中身では「教室外でも声をかける」「評価してくれる」「自分のことも話す」などで、そして「その先生から生き方を学べる」との声が印象的でした。  そこで公明党では、基本政策で、一番目に、画一的な知識教授型から多彩な知恵創出型へ義務教育の理念を転換。二番目に、学歴社会の打破。三番目に、教育の地方分権の推進。以上の三点を教育改革の柱に据え、各地域で父母や地域住民が教育内容の検討や校則づくりに参加できる「学校支援センター」の創設を提唱しています。こうした大胆な改革の推進が必要だと思いますが、いかがでしょうか。  いろいろと自身の思いを申しましたが、子供にとって最大の教育環境は教師自身であります。  そこで、これらの問題解決にこたえられる力ある教師像とは一体何か、どのようにして力ある教師を育成されるのか、熊本市の教育改革への取り組みについて教育長に御答弁をいただきたいと思います。        〔徳田勝比古教育長 登壇〕 ◎徳田勝比古 教育長  二点についてのお尋ねでございます。  まず、力ある教師像とその育成についてお答えを申し上げたいと思います。  力ある教師像とは何かということでございますが、教師に求められております資質、能力といたしましては、教育者としての使命感、人間の成長、発達についての深い理解、幼児、児童・生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的な知識、そして広く豊かな教養、さらにこれらを基盤とした実践的指導力だと思っております。  このような資質、能力の向上のためには、何よりも教師みずからが熱意を持って学ぶという姿勢が重要でありますし、その意味からも、教師が、自主研修や学校における校内研修を通しまして自己研さんに努めることがまずもって大切であろうと考えております。  教育委員会といたしましては、教職の各段階に応じた研修を実施いたしております。子供が楽しい学級づくりのあり方やわかる授業を目指した教科指導などに加えまして、特に本年度から研修を中核市で実施するようになりましたので、本市独自の研修に取り組んでおるところでございます。  例えば、採用一年目の初任者研修や十三年目の研修では、これまでより期間を長くして、それぞれ六日間、五日間の社会体験研修を実施しております。  この研修では、農家、百貨店、放送局など、全く勤務環境が異なる他職種の体験や、特別養護老人ホームや社会福祉施設などでのボランティア体験を行い、教師が社会のさまざまな方々と接し、他者への思いやり、社会性などを実感として学ぶことにいたしております。  また、八年目と十三年目の研修では、教職でこれまで学んだことと今後の自分の課題についてレポートを提出させ、改めて教師としての自覚や使命感を促しております。  さらに、各種の研修会において、一方的な講義形式から、具体的な事例を班別に討議するなどの参加型の研修をふやし、教師がみずから考え解決していくような研修の工夫をいたしております。  また、校長、教頭の研修では、その職責を考えまして、主にリーダーシップや危機管理能力に視点を当てた研修を実施いたしております。今後とも、教職員の資質や指導力の向上につきましては最大限の努力をしてまいりたいと存じます。  次に、教育改革についての取り組みでございます。  本年第一回定例会におきまして、熊本の子供たちをどう育てていくのか、熊本の新しい教育をどう展開するのかという観点に立って教育改革に取り組みたいと申し上げたところでございます。  その後、教育委員会において論議を進めておりまして、仮称ではございますが熊本市教育プランを策定することといたし、具体的にどのような取り組みができるのかの検討を重ねているところであります。  また、幅広く各方面から御意見をいただくために、社会教育委員や市PTA協議会の役員の方々との意見交換や、教職員のアンケート調査を実施したところであります。  今後は、市総合計画の基本的な理念との整合性を図りながら、具体的な取り組みにつきましては、できるだけ数値目標を掲げ、実効性のあるプランとすることとし、本年末をめどにその骨子を取りまとめたいと考えております。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  学校とか教師はすべて生徒のために存在するのでありますので、学校の先生方の人間としての輝きが何よりも大事でございます。教師みずから成長しようという意欲で頑張ってもらいたいと思います。  次に、環境問題についてお尋ねします。  熊本市は上水道の一〇〇%を地下水で賄う、全国でもまれな都市です。平成十二年度でも、重点事業として、地下水の量、質の保全対策事業が実施され、地下水浄化が進められております。
     トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有害物質は、一九八九年、水質汚濁防止法によって地下水への浸透が全面禁止され、各自治体でも対策が強化されておるところです。  熊本市では、高平台にトリクロロエチレンの汚染が判明してはや十年が過ぎました。平成二年度から、汚染源の特定と汚染機構解明が始まり、浄化手法の検討、そして揚水曝気処理方式、土壌ガス吸引方式による本格浄化が開始されています。  この間の浄化にかかる費用は、発生源の事業者負担が平成二年度から九年度までの八年間で約三千万円、十年度からは、装置運転管理電気代として年間約三百七十万円の負担となっています。  一方、行政負担では、熊本県が平成二年度から六年度までの五年間で約一億二千三百二十八万七千円、熊本市は平成二年度から十一年度までの十年間で約四億九千三百八十万円が支払われ、十二年度も約一千二十九万円の支払いが見込まれております。  一事業者が引き起こした不始末、不適切な排水処理による地下水汚染の残務処理に、これほどの莫大な費用を、市民の飲料水の安全を守るために市民の税金で処理しなければならないという矛盾とむだ。そしていまだに解決されず、二十一世紀までも継続されていきます。何となく釈然としない、納得できないのは私だけでしょうか。  熊本市が十一年度まで負担した約五億円という金額は、地域コミュニティーセンターを十軒は建設できる金額なのです。  そこでお尋ねいたします。  今までの浄化処理の効果と今後の事業のあり方、処理費用の負担の問題など見直しはしないのか、いたずらに継続されるだけなのか、その見通しについても環境保全局長に御答弁をいただきたいと思います。        〔古川康環境保全局長 登壇〕 ◎古川康 環境保全局長  環境問題に関しまして、高平台地区のトリクロロエチレンによる地下水汚染の状況と対策についてお答え申し上げます。  まず、ただいま亀井議員がお述べになりましたように、一たん有害物質などにより地下水が汚染されますと、その回復には相当の期間と多くの経費が必要となりますし、また、原因者に対してもその応分の費用の負担が求められることになります。  環境汚染に関しましては、まずもってこのことをしっかりと認識すべきではないかというふうに思っております。  高平台地区での浄化処理の効果でございます。  開始いたしました平成四年の六月時点での汚染の状況でございますが、トリクロロエチレンの濃度は、環境基準にしまして一万一千倍の三百三十ミリグラムパーリッターの数値でございましたものが、本年六月の時点では環境基準の二百倍、六・一ミリグラムパーリッターの数値までに低下いたしております。  しかしながら、最近の濃度の変化は横ばいの状態でございまして、浄化開始当初に比べ浄化の効果が顕著にあらわれているという状況ではございません。  そのような状況でございますので、環境基準まで低下するにはなお相当の期間が必要かと思われます。  また、現在使用しております浄化装置も老朽化いたしておりますので、最近の浄化技術を反映しました、コンパクトで効率的な、そして維持管理経費も少なくて済む浄化装置などへの転換も含めまして、今後の浄化事業のあり方を見直してまいりたいというふうに考えております。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  今後、浄化事業のあり方を見直すとのことですが、費用負担の問題も見直しを視野に入れていただくことを要望しておきます。  次に、安心、快適、福祉のまちづくりについて、提案を交えて質問いたします。  二十一世紀は、生活者の視点に立った住環境整備とまちづくりで、市民のすべてが快適な生活を享受できる社会を目指さなければなりません。通勤通学の混雑や交通停滞の緩和、高齢者や障害者にきめ細かに配慮した交通施設、交通歩道の整備を行い、だれもが安心して行動できるまちづくりを目指したいものです。  それには、まち全体にバリアフリー化を推進し、人の心のバリアも取り除くことが必要で、例えば公共施設等へのエスカレーター、エレベーター、スロープの設置や電線の地中化、幅の広い歩道の整備、車道の段差解消などによって、車いすでも安全で自由に行動ができる。要するにユニバーサルデザイン(障害者、高齢者、健常者などの区別なく、だれもが使えるように配慮されたデザイン)の視点のまちづくりを目指すべきであります。  第五次熊本市総合計画の原案には、確かに安全で快適な都市基盤の整備が計画されており、具体性があり立派なものです。しかし、二十一世紀に適用される国家百年の大計に立った視点からはいまだ不十分なように感じられます。  これからは、国道、県道も含めた総合的な交通体系はもとより、住宅、公園、公共施設など、都市づくり全般にわたって、利用する市民のさまざまな立場からの視点を取り入れていくことが不可欠であるのは明らかです。  例えばITS(高度道路交通システム)による道路環境整備を取り入れていただき、連続立体化、踏切道の改良、大量輸送交通機関への転換、環状道路の整備、交差点の立体化の推進、TDM(交通需要マネジメント)等による交通停滞の緩和策を推進する。そして、みずから交通手段を持たないお年寄りや子供たちに不可欠な路線バスの確保なども考えられます。  また良好な住宅の供給について、すべての市営住宅をケア住宅化してはいかがでしょうか。  緊急通報装置の設置とバリアフリー化、インターネット対応化、そして高齢者に対する日常生活指導、安否確認、緊急時における連絡等のサービスを提供する生活援助員の配置、介護、子育て支援施設、さらにはエレベーター設置の大幅拡充、三階建て以上の既設市営住宅にエレベーター設置を推進、特に階段式の団地に対するエレベーター化等はぜひ推進してほしいと思います。  このほかにも、施設のパンフレットの仕様や利用手続の改善など、ソフト面での対応によるバリアフリー化も考えられます。  このように、都市づくりや機具のデザインを、だれもが利用しやすいように工夫していくことで、障害があっても安心して暮らせる社会づくりが進むものと思います。  そこで、お尋ねいたします。  二十一世紀の我が熊本市が、子供からお年寄りまで安心して快適に暮らせる環境の中で、すべての市民が幸せを実感できるまちとなるためには、今後、ユニバーサルデザインによるまちづくりを積極的に進めることが必要であると考えますが、三角市長に御所見をいただきたいと思います。        〔議長退席、副議長着席〕  次に、住宅問題に関して三点お尋ねいたします。  現在熊本市では、住宅マスタープランに基づく公的住宅の建設が進められ、市営住宅は、平成十七年度までの十カ年で、新規、建てかえ合わせて三千戸を建設計画で、着々と事業に着手されているところですが、反面、市営住宅家賃を滞納するという問題もあり、頭の痛いところであります。  十日には、家賃の長期滞納者二十世帯に対し、総額約一千百七十六万円の家賃支払いと住宅の明け渡しを求める訴訟を熊本地裁に起こしたということでした。  条例で明け渡し請求が可能になる三カ月以上の滞納世帯は約一千八百世帯で、滞納額は、既に退居された分を含めて約四億四千万円になるとのこと、大変な額でございます。  一方、熊本市の十一年度市税収納率が八年ぶりに上昇、長引く不況の影響で、九州の他の五中核市で収納率を低下させる中に、熊本市だけが収納率をアップさせております。これには、徴収体制を充実させ、職員が執念を燃やした成果であります。滞納は早目に手当てをすることが大事です。  今後、市営住宅の家賃滞納について、徴収体制も含めて対策の強化が必要であると考えますが、いかがでしょうか。  次に、特定優良賃貸住宅の供給事業、これは民間の優良な賃貸住宅を借り上げ、オーナーに家賃を保証して市民に賃貸するもので、入居募集の大部分はうまくいっておりますけれども、中には募集が埋まらず、いわゆるその目的が達せられず、市は家賃保証だけを余儀なくされていると聞きました。  募集のあり方や募集対象者の見直しが必要だと思いますが、いかがでしょうか。  住宅問題の最後に、市営団地内の自主管理についてお伺いします。  団地では、それぞれに住宅の管理人、駐車場の管理人を置き、自治会が組織され、自主運営がなされておりますが、中には会長から会計に至るまで一切を一人で仕切るという、民主的でない運営で、金集めの手口も巧妙なトラブル続きの団地もあります。せっかく入居しても理不尽な環境にあきれて引っ越しが相次ぐといいます。  こういった環境は、三角市長が常々言われる「よかひと、よかまち、よかくらし」「心が通いあう市民生活」がなされるとは言えません。  そこで、市営団地に関しては、民主的な自治会やその他の組織がスタート、そしてまたスムーズな運営がされているかをチェック、指導することが必要ではないでしょうか。せっかくの市営団地の経営に支障を来してはいけないと思います。  以上、滞納家賃の徴収強化対策、特定優良賃貸住宅の募集条件、方法の見直し、そして市営団地における自主管理の民主的なあり方の指導、以上三点について、今後どのように進めていかれるか、建設局長に御答弁をお願いいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  ユニバーサルデザインをまちづくりにどう生かすかという観点から、考え方を述べさせていただきます。  私は、二十一世紀の社会とは、障害のあるなしはもとより、年齢や性別、国籍などにかかわらず、すべての市民にとって暮らしやすく、活動しやすい社会でなければならないと考えております。  そこで、本市におきましても、道路や交通機関を初め、住宅、公共施設などのさまざまなバリアの解消に取り組んでまいりましたが、これまでは、例えば成人の健常者の利用を基準にしてつくられたものに対し、特別な施設や表示方法を追加し、障害者や子供にも使いやすくするというやり方でありました。  しかし、ユニバーサルデザインでは、物づくりの初めの段階から、すべての人に共通して利用しやすいように工夫していこうということでございまして、私は、これこそがバリアフリーの原点であり、本市の基本構想における「人にやさしい」という理念の具体化であると思っておるところであります。  そして、今後は、このような、いろいろな方々が共有することによって生まれる豊かさという視点をまちづくり全般に浸透させていけたらと考えております。  具体的には、道路や建物、家具、日用品から案内誘導、市民サービスなど、日常のあらゆる分野にわたって、いろいろな立場の方々への配慮を心がけていくことが必要であります。  ことしから国におきましてもバリアフリー推進検討委員会が設置されまして、私も市長会を代表してそのメンバーに入らせていただいておるところでございますけれども、最初の論議、二回目の論議、いろんな立場から本当にいろいろ話が出ました。  例えば肢体不自由の方々の代表者の皆さん方は、道路、トイレの問題をいろいろ力説され、注文をされたわけであります。視覚障害者の方々からは、障害者トイレが余り広過ぎると自分たちは使えない。あるいは障害者団体連合会からは、いつも話題になっている問題として、点字ブロックの改良をどういう形でするか。視覚障害者の方にとっては今なくてはならない点字ブロックであるけれども、肢体不自由の方々にとっては大変迷惑施設というふうなことも考えられます。  それで、このことについてどういう形で、すべてにいい方法でやられるかというものを国が具体的に検討にかかり、市町村まで補助を対象としながらそういう形で考えていこうというものが、急ピッチで検討が進められておるところでございます。  私どもといたしましても、相反する利便性と申しますか、こういうことについては懸命に今までも考えてきたつもりでございますけれども、これからますます使う方々のニーズを十分に酌み上げながら、国の基本方針がまとまるのと並行して、私どもの方もこういったユニバーサルデザインシステム化というものに取りかかっていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  今後とも、常に市民の声を真摯に受けとめる姿勢を持って市政の推進に当たり、市民の代弁者としての議員の皆様とともに、すべての人が生き生きと生活し幸せを実感できる熊本づくりに邁進してまいりたいと考えておりますので、よろしく御支援賜りますようお願い申し上げます。        〔松下尚行建設局長 登壇〕 ◎松下尚行 建設局長  私の方からは住宅問題について亀井議員にお答えいたします。  まず、第一点目の滞納家賃の徴収強化対策についてでございます。  家賃滞納の解消は、入居者負担の公平性の確保並びに公営住宅制度の健全な維持発展を図る上で極めて重要な課題であると認識いたしております。  したがいまして、これまでもさまざまな方法で家賃滞納に対処してきましたが、特に平成十一年度からは嘱託徴収員を八名から十名へ増員、生活保護世帯の直接納付の奨励、郵便局振替制度の導入による口座振替納付の奨励等々を実施しながら滞納世帯の解消に努めているところでございます。  またさらに、悪質な滞納者につきましては訴訟という法的手段も講じ、従来年に一度であったものを、平成十年度からは年二回ということで厳しく対処いたしているところでございます。  今後の対応策といたしましては、一つ目には、滞納者に対する早目の対応が効果的であると考えまして、職員による電話、戸別訪問による納付指導を強化し、ローラー作戦的に対応していくことが効果的ではないかと考え、毎月定期的に実施していきたいと考えております。  二つ目といたしましては、訴訟よりも簡易な手続により迅速な解決が図られ、かつ職員で対応できます調停方式の取り入れを考えており、調停、訴訟の二段階方式での法的手段を講じることで入居者の納付意識の啓発を図り、収納率のアップにつなげることができないかなど検討しているところでございます。  二点目にお尋ねの、特定優良賃貸住宅の募集条件、方法の見直しについてでございます。  この事業は平成五年度に供給を開始して以来、本年度までに十二団地三百九十六戸の供給実績となっております。  入居状況につきましては、全体の入居率で見ますとある程度の水準は確保しておりますものの、御指摘のように、特に中心市街地活性化に資するために創設された本事業ではございますが、本年四月に供給を開始しました中心市街地の住宅が低い入居率となっている状況でございます。  現在、このような状況を打開するため、入居者の確保、入居率の向上を目指すことを最重点課題として取り組んでいるところでございまして、具体的には、昨年の十一月より、住宅情報誌への掲載や企業訪問などによるPR活動を徹底いたしましたところ、入居率は若干アップしているところでございます。  さらに、本年八月から、広範にわたる広告及び民間の情報力を活用するために宅地建物取引業者へ募集の業務委託を開始したところであり、この効果を待ちますとともに、今後は入居対象者の範囲を拡大するため、現在、中堅所得者層向けに設定しております所得基準額を引き下げるなど、入居者の確保に効果があると考えられるあらゆる募集対策を講じ、早期の空室解消に努めてまいりたいと考えております。  最後に、第三点目の市営団地における自主管理の民主的なあり方の指導についてでございます。  団地という非常に近接した住空間では、暮らしの基本的なルールを守り、他人に迷惑をかけないようお互いに心がけることが快適な団地生活をおくるためには重要であると考えております。入居時に当たっては、このことについて「すまいのしおり」等で周知を図っているところでございます。  しかし、議員御指摘のように、ルールを守れず、ペットの飼育、騒音、指定日以外のごみ出し、違法駐車などの迷惑行為によりトラブルが起こるケースがあることも事実でございます。  本市では、管理に携わっていただく方々が職務を円滑に遂行していただくための研修を実施しますとともに、居住者からの情報などをもとに、関係する住宅管理人にお願いして、トラブル等に対する注意文の配布や口頭による指導などを行うようにしております。  それでも解決が困難な場合は、関係者のところに職員が直接出向くか、または電話する等して指導を行い、トラブルの解消に努めているところでございます。  今後は、研修の内容がより充実したものとなるよう計画いたしますとともに、さらに入居者全員に、年二回配布いたします「はーとふる」などの広報誌を通じまして、迷惑行為の禁止の周知徹底を図っていくとともに、情報収集を密に行うなどして、トラブルが深刻化しないうちに行政として早期に直接的な指導を行うなど、積極的な対応を図りながら住みよいまちづくりに努めてまいりたいと考えております。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  市長からは、ユニバーサルデザインはバリアフリーの原点であり、まちづくり全般にわたって浸透させていきたいとの所見をいただきました。  また、滞納家賃の徴収強化対策は早目の対応をして、訴訟の前に職員で対応できる調停方式を取り入れるとのこと。特定優良賃貸住宅では、募集のあり方見直しと、中堅所得者層向けの所得基準額設定を見直すとのことです。早急に空室解消を図っていただきたいことを要望しておきます。  最後になりました。公共事業に関して伺います。  景気対策財政再建と絡んで、公共事業の改革が国政の重要な焦点になっております。公共事業の見直しが叫ばれるようになった原因は、第一に、国民から見て税金のむだ遣いとしか思えないようなケースが少なくなかったからでございます。  一部が主張しているような短絡的な公共事業削減論では、本当の意味での改革にはなりません。地方都市によっては、欧米に比べ立ちおくれている生活関連分野への投資はまだまだ必要なのでございます。  そして今後は、少子高齢化、情報化、経済の成熟化が進む中で次世代型公共事業はどうあるべきかが問われていきます。こうした課題に取り組むために公共事業の改革は必要なのであります。  国においても、一たん着手した事業でも中止するなど方向転換を可能にする再評価システム(時のアセスメント)や、事業効果を検証する制度(費用対効果分析)を導入し、コスト削減などを促進しております。  今年度予算で、国の公共事業費九兆四千億円のうち地方への国庫補助金は五兆九千億円を占めています。これでは、地方は国にコントロールされ、地元に本当に必要な公共事業かどうか、効率的に事業が実施されているのか、地域住民にはわかりにくい状況です。  やはり、かぎを握るのは財源の地方移譲であります。この地方単独事業化、公共事業の優先順位や必要性を熟知している自治体への公共事業の全権委任が行われると、次世代型公共事業への適正な改革が加速度を増すと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、これに関連して入札制度の改革についてであります。  設計価格に関しては、平成十年二月の中央建設業審議会の建議の中で、「予定価格の事前公表は今後の長期的な検討課題とする。」としていましたが、人口三十万人以上の都市で、既に政令市で福岡市が、中核市では高知市で公表を実施しております。そして十二年度に実施予定の都市を含むと、何と六十二の市中、既に三十六市で改革され、五六%になるようです。  これまで熊本市の入札制度では、他都市に先駆けて条件つき一般競争入札、公募型指名競争入札、低入札価格調査制度の導入を図るなど、入札、契約制度の改善に努力されております。  昨年一月から予定価格の事後公表は採用されておりますけれども、予定価格の事前公表検討問題については、全国的な情報公開の流れから事前公表をされるお考えはないのか、以上二点、三角市長にお尋ねいたします。  熊本市の改革では、平成六年度の第一回定例市議会において、私は、多種多様化する民間委託業務についての適正な執行体制について質問いたしました。これにより、各課において業務委託全般についての見直し作業が行われたと聞いておりますが、今回、新聞報道にありました下水道汚泥運搬業務委託の随意契約についてお尋ねいたします。  一つは、これについては、当時どのような検討がなされ随意契約にしたのか、判断基準を明らかにしていただきたい。  二つ目に、有限会社熊本環境産業が、経営不振により「廃業届」と「業務続行不能届」が提出されたことを受けて、今回新たに入札による汚泥運搬業務委託の業者を選定されています。その結果、これまでトン当たり三千三百十八円で委託していたものが、今回は九百八十三円になったと聞きました。この入札結果について率直な感想を伺いたい。  三つ目に、今回まで業務委託を行った際の設計単価の積算は適正に行われてきたのか。  以上三点について都市整備局長にお尋ねいたします。        〔三角保之市長 登壇〕 ◎三角保之 市長  公共事業に対する私の基本的な考え方と、これに関する入札制度の改革についてお答えをいたします。  議員がお述べになっております財源の地方移譲に関しましては、地方分権一括法の施行にもかんがみて、私も機会あるごとに国に対して、事務の移譲とともに財源の移譲も必要であり、これが真に国と地方とが対等の立場に立てる本来の姿であるとの意見を申し上げてきたところでございます。  この基本にありますのは、地元をよく知り、そして住民に一番身近な地方自治体が行う行政こそが、独自に創意工夫を織り込んだ、真に住民のための地域づくりが行えるとの信念であります。  議員お尋ねの公共事業に関しても、この考え方に基づき国と地方の役割を明確にして、例えば、大規模で広域的な公共事業は国で行うべきであり、それ以外の公共事業は、財源を確保した上で地方自治体で行うべきではないかと考えております。
     さらに、昨今、真に不要なものは別にいたしまして、公共事業削減論が広く浸透しているのは地方にとりまして非常に残念であります。  これは、だれのために社会資本整備を行っているかの視点が欠けているためであり、まだまだ欧米に比べておくれている社会資本の整備は必要であるとともに、IT関連を軸とした新しい分野をも視野に入れ、次の世代のためにも将来を見据えた取り組みが必要であると考えております。  最後に、議員お尋ねの入札制度の改革への取り組みに関しまして、詳しくは建設局長から答弁をいたしますが、予定価格の事前公表等を初めとする入札の透明性の確保に関する制度改正につきましては近年の懸案事項の一つでありまして、私から早い時期に取り組むよう担当部署に指示してきたところでございます。        〔松下尚行建設局長 登壇〕 ◎松下尚行 建設局長  私の方から予定価格の事前公表についてお答えいたします。  予定価格の公表につきましては、御指摘のように、建設省の諮問機関であります中央建設業審議会の建議の中で、談合等の不正入札防止を目的とした入札契約手続の透明性向上策として盛り込まれており、これに準ずるものとして本市におきましても昨年一月から事後公表に踏み切ったところでございます。  建設省におきましては、積算価格の内訳の事後公表を平成十年十月から実施するとともに、予定価格そのものの事前公表のあり方の検討を始めたと聞いております。  このような状況のもと、自治体の中にも、一定規模以上の工事につきまして、試行的にあるいは本格的に予定価格の事前公表を実施するところも出てきております。  その効果につきましては、予定価格を探ろうとする不正な動きを防止するとともに、コスト縮減につながるというメリットがあると聞いております一方で、業者のまじめな見積もり努力へのインセンティブが失われるおそれや落札金額の高どまりなどの不安材料の指摘もあると聞いております。  近年、積算ソフト開発技術の発達や発注者側における積算単価や数量の積極的な公開により、業者自身が既に十分な積算能力を有するようになったため設計金額に極めて近い数字の算出が可能となり、事実上事前公表をしたと同様な状況になっているとも言われております。  本市といたしましても、県内外の自治体等の取り組み状況や実施時の問題点を十分把握した上で入札契約制度の改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。        〔田尻紘都市整備局長 登壇〕 ◎田尻紘 都市整備局長  私からは、下水道汚泥運搬業務委託の随意契約問題三点について、亀井議員にお答えをいたします。  平成六年第一回定例市議会において、亀井議員より民間委託業務の適正な執行体制についての御提言がなされたのを受けまして、全庁的に業務委託契約全般についての見直しが行われております。  その際、下水道汚泥運搬業務委託につきましても、下水道部内におきまして見直しを含めた論議がなされたようでございますが、汚泥運搬という特殊性から、これまでの実績や経験、能力、さらに業務に対する熟知度等を評価し、随意契約として処理しております。これは、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第二号を適用したものでございます。  次に、入札結果についての率直な感想でございます。  今回の指名入札には十一社を指名いたしましたが、一社の入札辞退があり、十社が参加して競争入札を行っております。  入札を行った十社の平均入札価格は四千十八円となります。また、最高額と最低額を外した八社の平均は三千三百五十一円となり、これまで随意契約で委託していた価格三千三百十八円を上回っております。  このことからも、これまでの設計単価は妥当性を欠くものではなかったと認識しておりますが、落札価格が九百八十三円という破格な金額となったことにつきましては、正直申し上げまして驚いております。今回の入札結果を真摯に受けとめて今後取り組んでまいりたいと考えます。  三点目の御質問でございます設計単価につきましては、全国の地方自治体で使用されております基準単価を用いて積算した標準的な価格を採用して設計書を作成しており、設計単価の積算は適正に行ってまいったものでございます。        〔五十三番 亀井省治議員 登壇〕 ◆亀井省治 議員  入札契約制度の予定価格の事前公表等については積極的に取り組んでいきたいとのことでございます。  また、今回の下水道事業問題について答弁をいただきましたが、これまでの随意契約の価格や設計単価の積算が適正で、不正ではないということは理解できます。  また、私たちも調べましたが、昭和五十六年当時、汚泥処理業者が一社だけしかなかったことから、地方自治法施行令第百六十七条の二を適用して随意契約で業務委託が行われてきたことはやむを得ないようでございますけれども、その後の許可業者の増加や状況の変化等の機会をとらえて見直すべきであったのではないかとは思います。  今回、たまたま業者の廃業によって指名競争入札が採用されたことにより、この随意契約問題が改善されたとは思われますが、今後の執行に当たっては慎重に取り組んでいただきたいことを強く要望しておきます。  以上で質問を終わります。長時間にわたり御清聴いただきました傍聴の皆様、議員各位、そして簡潔に御答弁をいただいた三角市長初め執行部の皆様に心から感謝を申し上げて終わります。ありがとうございました。(拍手)      ───────────────── ○鈴木昌彦 副議長  本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明三十一日(木曜日)定刻に開きます。      ───────────────── ○鈴木昌彦 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                   午後三時三十四分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成十二年八月三十日 出席議員 五十一名   一番 江 藤 正 行   二番 鈴 木 昌 彦   三番 原    亨   四番 津田 征士郎   五番 鷲 山 法 雲   六番 上野 美恵子   七番 村 上   博   八番 小 山 久 子   九番 日和田よしこ   十番 藤 岡 照 代  十一番 坂 田 誠 二  十二番 竹 原 孝 昭  十三番 藤 山 英 美  十四番 田 中 誠 一  十五番 下 川   寛  十六番 重 松 孝 文  十七番 中 松 健 児  十八番 家 入 安 弘  十九番 佐々木 俊和  二十番 鈴 木  弘 二十一番 牛 嶋  弘 二十二番 古 川 泰 三 二十三番 税 所 史 熙 二十四番 岡 田 健 士 二十五番 田 尻 将 博 二十六番 田 尻 清 輝 二十七番 北 口 和 皇 二十八番 田 辺 正 信 二十九番 大 江 政 久  三十番 島 田 俊 六 三十一番 荒 木 哲 美 三十二番 主海 偉佐雄 三十四番 落 水 清 弘 三十五番 奧 田 光 弘 三十六番 宮 原 政 一 三十七番 益 田 牧 子 三十八番 上 村 恵 一 三十九番 磯 道 文 徳  四十番 西  泰 史 四十一番 中 村 徳 生 四十三番 嶋 田 幾 雄 四十四番 竹 本  勇 四十五番 田 尻 武 男 四十六番 白 石  正 四十七番 矢 野 昭 三 四十八番 島 永 慶 孝 四十九番 村 山 義 雄  五十番 大 石 文 夫 五十一番 紫 垣 正 良 五十二番 西 村 建 治 五十三番 亀 井 省 治 説明のため出席した者 市長      三 角 保 之  助役      御 厨 一 熊  助役      後 藤 勝 介 収入役     岩 本 洋 一  企画調整局長  齊 藤  聰  総務局長    松 村紀代一 市民生活局長  村 上 智 彦  健康福祉局長  長 廣  強  環境保全局長  古 川  康 経済振興局長  三 嶋 輝 男  都市整備局長  田 尻  紘  建設局長    松 下 尚 行 消防局長    道 越  賢  交通事業管理者 市 原 敏 郎  水道事業管理者 森 高 聖 之 教育委員会委員長松 垣  裕  教育長     徳 田勝比古  人事委員会事務局長                                        古 河 幹 男 代表監査委員  野 田 晃 之  市長室長    赤 星 健 一  財務部長    谷 口 博 通 職務のため出席した事務局職員 事務局長    友 枝 佑 二  事務局次長   大 橋舜一郎  首席総務審議員 松 本  豊 総務審議員   山 田 利 博  総務審議員   下 川紀志江...